



香酸柑橘の中でもまろやかな酸味が特徴のかぼす。特に杵築市のハウスかぼすは、太陽光がさんさんと注ぎ込まれる傾斜圃場で作られ、果汁をたっぷりと蓄えています。ハウス一面に枝を伸ばす生命力あふれる果樹には、かぼすがたわわに実っています。皮のハリとツヤから、収穫のタイミングを見極めるのがプロの技。ベストな状態のものを、ひとつひとつ手作業で丁寧に収穫していきます。そうして収穫されたかぼすを、料理にひと絞りすれば、さわやかな香りがただよい、まろやかな酸味がどんな食材にもマッチ。古くから料亭で重宝されてきただけあって、食卓を格上げする立役者として活躍してくれること間違いなしです。




産地では、かぼす果汁を唐揚げにかけたり、お刺身にかけたりと、とても身近な調味料として使用されています。肉に良し、魚に良しのかぼすですが、おいしさを引き立てる酸味の正体は、抗酸化作用で免疫力アップが期待できるビタミンCと疲労回復効果があるとされるクエン酸。特にクエン酸は、レモンの2倍も含まれています。さらに、血糖値の上昇を抑える働きや、発がん抑制作用、抗認知症作用などが期待できると話題のポリフェノールの一種、ノビレチンにも注目です!おいしい食事を楽しみたい人にとって、かぼすは味でも栄養面でもまさにベストパートナーと言えそうです。ちなみに、果汁を絞って残った皮をお風呂に入れれば、リラックスする香りに包まれ、さらにビタミンCによる美肌効果も期待できそうです。







村井さんのお父様が柑橘の生産を始めたのは昭和37年頃。柑橘農家で育った村井さんは、18歳で就農し、かぼすの生産に携わってきました。なんとこの道40年の大ベテラン!かぼすのハウス栽培は、大分の中でも杵築地区が先駆けだったとか。「ハウスみかんを作っていたノウハウをかぼすに応用して、他の地域よりも早い時期に出荷するようになったんですよ」と教えてくれました。そんな村井さんイチオシかぼすアレンジはお寿司。「魚だけじゃなくて、酢飯にもかぼすをかけちゃうの。それが一番おいしいね!」



杵築城が築城されたのは1394年のこと。当時の城主が眺めていたであろう城下町が、今もその風情を残しています。日本でただ一つの「サンドイッチ型城下町」と呼ばれている理由は、南北の高台には武家屋敷、その谷間には商人の町があり、V字型の地形がサンドイッチのように見えるという珍しい景観が由来です。飲食店や売店、広場などがある大通りから、北台、南台に続く石畳の坂を登っていくと、江戸時代にタイムスリップしたかのような景色が広がります。茅葺き屋根の立派な武家屋敷などの歴史的な建造物は、フォトスポットとしても映えること間違いなしなので、ぜひ着物で訪れてみてはいかがでしょうか。

