



大和丸なすは、奈良県が認定する「大和の伝統野菜」のひとつ。奈良盆地の北部にある大和郡山市は昼夜の温度差が比較的大きいことから、特に色ツヤの良いなすが育ちます。皮は深い紫色と特有のハリがあり、丸々と美しい姿は“黒紫の宝石”と呼ばれるほど。手に取ると、身詰まりの良さがその重みから伝わります。また、しっかりとした肉質と上品な甘さが特徴で、高級料亭でもよく使用されています。
一般的ななすに比べて、1株から収穫できる個数を1/5程度にまでしぼり、ひとつずつ手作業で授粉。毎日生育状況を確認して、最高のタイミングで出荷されます。




大和丸なすは、果肉に締まりがあるため熱しても型崩れしにくく、また肉質がとても緻密なのが特徴です。なすは油との相性が良い野菜ですが、この大和丸なすは一般的ななすよりも油を吸いすぎないため、ヘルシーに食べられます。産地では、素揚げにしてショウガ醤油で食べるのが定番なんだとか。なすの甘みと肉感をしっかりと味わえ、えぐみも少ないのでどんな料理にも活用できます。また、なすにはコリンエステルという成分が多く含まれていることも注目されています。コリンエステルは神経伝達物質のひとつで、血圧上昇をおさえ、リラックス効果が期待できると言われています。







「一度食べたら、絶対推したくなるはずです!」。そう大和丸なすのおいしさを語ってくれた中西さん。曾祖父から4代続く農家を継いだ中西さんは、大和丸なすの生産に注力し、現在は計9棟のハウスで栽培しています。「おとんが病気になってから就農したので、丸なすの作り方は近所の先輩たちに教わりました。当時丸なすは、ほぼ東京と京都にしか出ていなかったのですが、地元でも食べてもらいたいと思って、スーパーなどに働きかけ、今では県内でもたくさん流通してるんです」。営業職や飲食業での経験もある中西さんは、大和丸なすの拡散にも一役買っているそうです。「大和丸なすのおいしさは格別やと思います。今年の出来も良いですよ!」



大和郡山市は日本有数の金魚の生産地で、全国金魚すくい選手権大会が毎年開催されるなど、金魚愛好家にとっては聖地とも言える街です。金魚の描かれたマンホールや金魚の泳ぐ水槽が点在する“金魚ストリート”と呼ばれる「やなぎまち商店街」があり、さまざまな金魚に出会えます。大和郡山の金魚の歴史は江戸時代までさかのぼり、甲斐の国から来た郡山藩主・柳沢吉里により持ち込まれ、城下町では貴族や富豪の愛玩物として広まったと言われています。

