



パパイヤというと「南国の果物」というイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、今回ご紹介するのは、熟す前の青い実を野菜として食する「青パパイヤ」です。エスニック料理のサラダによく用いられているのでご存じの方もいるかもしれませんが、近年では国産の青パパイヤの流通も増えてきています。
JA南彩の岩槻地区は、元来梨の生産が盛んな地域でしたが、生産者の高齢化などが理由で、手間のかかる果樹生産をやめる農家が増えてきたそうです。そこで、その休耕地を活用し、病害虫に強く、生産の手間がかからない青パパイヤの栽培ができないかと、7年ほど前に試行を始めました。なかなか安定出荷をするまで軌道に乗せられずにいたところ、岩槻地区の青年部が「地域の農業を盛り上げよう」と立ち上がり、今では一丸となって青パパイヤの生産と研究に取り組んでいます。




青パパイヤの注目ポイントは、パパイヤだけに含まれているパパイン酵素です。青パパイヤの表面に傷がつくと、パパイン酵素を含んだ白い液体があふれるように流れ出てきます。パパイン酵素は、体内で食べ物の消化を助ける働きが期待できます。さらに青パパイヤには、抗酸化作用で知られるポリフェノールも含まれているのだとか。ここ最近では、スーパーフードとしても注目を浴びている青パパイヤ。美容と健康のために毎日継続して食べると、少しずつその効果が実感できるかもしれません。







梨の生産者だったお父様の跡を継いで、30歳で就農したという金子さん。「父が亡くなってから就農したので、農業のことが何もわからない中、JAや青年部の仲間、周りの生産者さんにいろいろと教えてもらうなど、本当に助けてもらいました。“自助・共助・公助”という言葉がありますが、農業を通じて共助の大切さが身に染みました。それで今度は『恩返しをしたい』という気持ちから、青年部の活動にも注力するようになりました。また、JAの営農支援課にTAC(とことん、会って、コミュニケーション=地域農業の担い手に出向く担当者のこと)ができてから、より組合員ファーストで動いてくれるようになり、JAとの連携も強固なものになったんです。青パパイヤの研究も、TAC担当の山口くんと二人三脚で積極的に取り組んでいます。JAが『生産者のためならなんでもやる!』という気持ちで動いてくれるから、僕らも『地域の農業のために尽力しよう!』という気持ちになるんですよ」と話してくれました。その努力のかいもあり、初年度はJA南彩管内での生産量が200本程度だったパパイヤの木が、今では1600本ほどに増え、収穫量も大幅に増加したそうです。「青パパイヤを毎日食べるようになって、腸内環境がよくなったと実感しています。シャキシャキとした食感はどんな料理にも合うので、一度手に取って食べてみてもらいたいです。裏ワザとしては、ピーラーで薄くむいたパパイヤの皮をブロック肉や鶏肉と一緒に一晩つけておくと、酵素の力で驚くほど肉が柔らかくなるんです!こちらもぜひ一度試してみてください」。



岩槻といえば、人形のまち。その歴史は江戸時代にさかのぼり、古くから人形作りが盛んな地域として知られています。2020年には人形作りをテーマとした日本初の公立博物館「さいたま市岩槻人形博物館」も設立されました。人形製作の道具や材料などの展示に加え、人形作りの工程を映像で知ることができ、貴重な日本人形コレクションの展示を見学できます。ワークショップも定期的に開催されているので、自分だけの人形と思い出を作ってみるのもいいですね!

