ご当地イチオシの農産物と出会おう!with JAタウン

手塩にかけて育てたからこそ、たくさんの人に知って、味わって欲しい……。ご当地ならではの希少な農産物を、美味しいレシピや生産者の想いと共にお届けします。

今月のイチオシ農産物 さりいも 砂里芋(新潟県) 土の下に隠した白い肌過酷な環境で育つ里芋界のシンデレラ

粘土質の土を好む里芋をあえて砂地で栽培 そこで蓄える糖分がおいしさの秘密

新潟県新発田市および聖籠町の砂地で採れるブランド里芋のことを砂里芋(さりいも)といい、10月中旬頃から本格的に収穫が始まります。今回は収穫を約1か月後に控えた圃場を見学させてもらいました。一面に青々とした葉が広がっていますが、葉が枯れ始めた頃が収穫のタイミングなのだそう。一般的に里芋は水を蓄えやすい粘土質の畑で栽培されますが、海に近い新発田の土はサラサラとした砂地です。水はけのよい砂地は、水分を好む里芋にとって過酷な土壌だと言えます。そのストレスを受けることによって芋が糖分を蓄えるので、砂里芋は甘みや旨みが強く、身が締まってとてもおいしいのだとか。キメ細かくねっとりとした食感に加えて、中の色が白く美しいことも砂里芋の特長です。

ご当地イチオシレシピ

クリーミーな舌触りに感動!

砂里芋のともあえ

材料(2人分)
  • 砂里芋
    300g
  • だしパック
    1パック
  • 砂糖
    大さじ1/2
  • みそ
    大さじ1/2
  • ゴマ
    適量
作り方
  1. 1 砂里芋は皮をむいて、3等分に切る。
  2. 2 鍋に1を入れ、砂里芋がかぶるくらいに水を入れ、だしパックを加えて20分煮る。
  3. 3 砂里芋をざるにあげ、ゆで汁大さじ3をとっておく。
  4. 4 砂里芋の1/4をボウルに入れ、3のゆで汁を加えてフォークでなめらかになるまでつぶす。
  5. 5 残りの砂里芋と4を和えて器に盛り、ゴマをふる。

秋の味覚がたっぷり

砂里芋と鮭の炊き込みご飯

材料(4人分)
  • 砂里芋
    (皮をむいたもの)
    200g
  • 3合
  • 甘塩鮭
    (皮をとったもの)
    2切れ
  • しめじ
    50g
  • 三つ葉
    適量
■A
  • 大さじ2
    みりん
    大さじ1
    昆布茶
    大さじ1
    薄口しょうゆ
    大さじ1/2
作り方
  1. 1 米は洗って炊飯器に入れ、2合の目盛りまで水を入れ、鮭としめじとAを入れて30分おく。
  2. 2 砂里芋は1.5cm角に切り、さっとゆでてざるに上げ、冷ます。
  3. 3 2を1に入れ、炊く。
  4. 4 炊き上がったら鮭をほぐしながらざっくりと混ぜ、茶碗に盛り、三つ葉を添える。

ぬめりの秘密は豊富な水溶性食物繊維 ビタミン類も豊富!

里芋のぬめりには、水溶性食物繊維の一種であるグルコマンナン、ガラクタンなどが含まれています。これらは、消化吸収を高めて胃腸の働きを活性化させ、腸内環境を改善させる効果が期待できます。また、タンパク質の分解を助けるビタミンB6や糖質をエネルギーに変える働きをサポートするビタミンB1など、ビタミンB群も豊富。そのほか、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど体に欠かせない栄養素も多様に含んでいます。また、芋類の中で里芋はもっともカロリーが低いため、摂取カロリーが気になる人におすすめです。
新聞紙などに包み、風通しの良い日陰に置いておくと日持ちもよいので、日々の食事にぜひ取り入れてみてください。

生産者の声

新発田のうめぇもん、けぇ! (新発田のおいしいもの、食べてみて!) JA北越後 さといも部会 部会長 小林 八寿夫さん

「砂里芋は“のっぺ(新潟県の煮物のような郷土料理)”で食べることが多いですね。子芋の周りにできる孫芋が柔らかくておいしい。丸みがあり、切り口がひとつしかないのが孫芋ですよ」と、おいしい里芋の見分け方を教えてくれた小林さん。砂里芋の生産に本格的に取り組むようになったのは18年ほど前からだそうです。「砂質土のため水やりの手間がかかるし、連作ができない。さらに肥料も流れやすいことから、有機質肥料の追肥の必要があり、苦労は多いんですよ」と、話してくれました。生産にコストがかかるため、売値も高くなってしまい、生産を始めて数年は売れ行きがあまり振るわなかったといいます。それでも砂里芋のおいしさを信じて生産を続け、部会の人数は3名から19名へ、全体の耕作面積は0.7ヘクタールから23ヘクタールにまで成長しました。令和4年には新潟県の日本農業賞・県知事賞を受賞、また同年、新潟県で初めてJGAP(※)団体認証を取得するなど、部会が一丸となりブランド里芋としての価値を高めるべく取り組んでいるのです。

※食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証

ご当地リポート 新潟県新発田市

新発田といえば、新潟の奥座敷とも呼ばれる月岡温泉が有名。美肌効能があるとされる硫黄成分濃度の高さで知られています。硫黄含有量は日本でもトップクラス。硫黄泉としては珍しい弱アルカリ性で、肌に優しい硫黄泉として親しまれてきました。普段は入浴剤と間違われるほど美しいエメラルドグリーン色をしていますが、季節や天候などの気象条件により乳白色などに色が変化する場合もあるのだとか。
また、温泉地での楽しみといえば温泉街の散策です。新潟の地酒を集めた酒店で、試飲をしながら日本酒を購入したり、お酒に合うおつまみを探してみたりするのも一興。趣向を凝らしたお店が並ぶ中には、せんべいや米粉スイーツを自分で焼いて楽しめるところもあるので、米どころ新潟の味と、良質な温泉を月岡で堪能してみてはいかがでしょうか。

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