



中国野菜のサイシンとブロッコリーのかけ合わせで生まれた、「はなっこりー」。平成7年に山口県農林総合技術センター農業技術部(旧山口県農業試験場)で生まれ、山口市名田島で生産が始まった山口県オリジナルのブランド野菜です。もともと年配の生産者や女性でも育てやすいようにと開発された品種ということもあり、現在20人ほどいる生産者部会のメンバーの多くが女性なのだそう。先端につく花蕾が咲く前に、1本ずつ手折って収穫をします。規格に合わせて長さをそろえたり、葉のバランスを丁寧に整えたりと、出荷の際には繊細な作業が必要となります。




山口県ではおなじみの野菜として、スーパーなどに並んでいるはなっこりー。クセが少なく、甘みがあるため野菜が苦手な子どもでも、おいしく食べられるのが特徴です。さらに、ブロッコリー(花芽・ゆで)のビタミンC含有量が100gあたり54mgなのに対し、はなっこりー(ゆで)は100gあたり120mgとビタミンCを豊富に摂ることができます。 ビタミンCと言えば免疫力アップに欠かせない栄養素。10月から4月が旬のはなっこりーは、秋冬の免疫力アップを支えてくれる頼もしい野菜と言えそうです。







はなっこりーの生産をはじめて15年ほどになる保坂さん。それまで農業とはまったく縁がない生活を送っていたそうですが、近隣の生産者さんから「はなっこりーは自分のペースで生産しやすいから、子育てや家事との両立が叶う」と聞き、新規就農をされたそうです。「農業の知識ゼロからのスタートでした。はなっこりー生産の第一人者がご近所にお住まいで、いろいろと教えていただいたおかげで、なんとかやってこられたんです」と就農当時のことを振り返ってくれました。一方、保坂さんのママ友というつながりから「一緒におしゃべりしながら仕事しようよ!」と、誘われて就農した松根恵さん。保坂さんと同じ圃場内で畝ごとに区分けして、協力しながらはなっこりーの生産を行っています。主婦でもあるお二人におすすめの食べ方を聞いてみると、保坂さんはベーコン巻きや胡麻和え、松根さんは天ぷらや、シチューに入れてもおいしいとそれぞれ教えてくださいました。



名田島から車で15分のところにある新山口駅は、SLやまぐち号の始発駅でもあります。1973年に一度姿を消した山口蒸気機関車ですが、復活を願う多くの声に後押しされ、1979年にSLやまぐち号として生まれ変わりました。SLやまぐち号の車窓から眺めることができる長門峡は、国指定の名勝に選ばれた絶景です。
また、日本三名塔の一つに数えられる「国宝瑠璃光寺五重塔」も山口市にあり、歴史を感じられる場所として人気を博しています。現在は約70年ぶりの檜皮葺屋根の全面葺き替え工事中のため塔を見ることはできませんが、令和7年の年末頃には再び美しい姿をみることができるでしょう。
