ご当地イチオシの農産物と出会おう!with JAタウン

手塩にかけて育てたからこそ、たくさんの人に知って、味わって欲しい……。ご当地ならではの希少な農産物を、美味しいレシピや生産者の想いと共にお届けします。

今月のイチオシ農産物 仙台せり(宮城県) 鮮やかな緑は風味豊かな証! 根っこまでおいしくいただける

美しい根を張り、太く育つ理由はきれいな地下水と粘土質土壌

七草粥の材料としても知られるせりは、数少ない日本原産の野菜の一つで、その生産は江戸時代までさかのぼります。あの伊達政宗も “七種を 一葉によせて 摘む根芹”という句を詠んだというほど、宮城県とせりのかかわりは深く、収穫量は全国でも1位となっています。中でも、名取市で生産される「仙台せり」というブランドは、名取川を水源とするきれいな地下水をひいた土壌で育ち、葉の緑がとても鮮やかで風味豊かなのが特徴です。粘土質の土壌にしっかり根を張って茎が太く育つので、シャキシャキとした食感と歯ごたえを楽しむことができます。地下水に含まれる鉄分が少ないため、根が白く、食卓でも美しい姿を見せてくれます。

ご当地イチオシレシピ

シャキシャキの歯ごたえがクセになる!

仙台せりのかきあげとせり根の天ぷら せり根のきんぴら添え

●仙台せりのかき揚げ
材料(2人分)
  • 仙台せり(根を除いた部分)
    80g
  • たまねぎ(スライスしたもの)
    40g
  • サクラエビ
    5g
  • てんぷら粉
    大さじ5
  • 大さじ5
  • 適量
作り方
  1. 1 せりの茎は3cmの長さに切り、葉はざく切りにする。
  2. 2 1のせりと、たまねぎ、サクラエビをボウルに入れ、てんぷら粉を全体にまぶし、水を大さじ5加えてざっくりと混ぜる。
  3. 3 オーブンシートを7cm×7cm幅に切り、2を乗せて、170℃に熱した油に入れて揚げる。
  4. 4 カリッと揚がったら、3のかき揚げを取り出し、シートを外して器に盛り、塩をふる。
●せり根の天ぷら
材料(2人分)
  • 仙台せり(根の部分のみ)
    適量
  • 適量
■A
  • てんぷら粉
    大さじ3
    大さじ4
作り方
  1. 1 仙台せりの根はよく洗い、下粉(分量外のてんぷら粉)をまぶしておく。
  2. 2 ボウルにAを入れ、よく混ぜ、1をくぐらせておく。
  3. 3 2の根を乗せて、170℃に熱した油に入れて揚げ、カリッと揚がったら、根を取り出し、器に盛り、塩をふる。
●せり根のきんぴら
材料(2人分)
  • 仙台せり(根の部分のみ)
    50g
  • ごま油
    大さじ1/2
  • 七味唐辛子
    適量
■A
  • 大さじ1/2
    みりん
    大さじ1/2
    しょうゆ
    小さじ1
作り方
  1. 1 仙台せりの根は半分の長さに切っておく。
  2. 2 フライパンにごま油を敷き、1とAを入れ、中火で水分がなくなるまで炒める。
  3. 3 器に盛り、七味唐辛子をふる。

せりの香りが鶏肉との相性抜群!

仙台せり鍋

材料(2人分)
  • 仙台せり
    (5cmの長さに切ったもの)
    200g
  • 鶏もも肉
    (一口大に切ったもの)
    250g
  • マイタケ
    100g
  • 長ネギ
    (斜め薄切りにしたもの)
    100g
  • ごぼう
    (ささがきにしたもの)
    100g
  • もち
    2個
■A
  • だし汁
    1リットル
    50cc
    しょうゆ
    大さじ3
    みりん
    大さじ2
    小さじ1
作り方
  1. 1 土鍋にAを入れて、火にかけ、鶏もも肉を入れて5分ほど煮る。
  2. 2 せりの根の部分はよく洗い、マイタケは手でほぐしておく。
  3. 3 もちは焼いておく。
  4. 4 1の鶏肉に火が通ったら、せり、マイタケ、長ネギ、ごぼう、もちを入れ、軽く煮る。

豊富なビタミンCとβ-カロテンで風邪知らず 特徴的な香りにもうれしい効果が!

せりには、ビタミンCやβ-カロテンなど、免疫機能をサポートする栄養素が豊富に含まれています。
また、せりといえば独特の風味が特徴ですが、それを生み出しているのは香り成分のピラジンやオイゲノールです。ピラジンは血流改善効果が期待できる成分で、オイゲノールにはイライラや興奮を抑える鎮静効果が期待できます。そのほか、代謝を助ける補酵素であるパントテン酸、ミネラル、カリウム、葉酸など、さまざまな栄養素が含まれています。古来から、生薬としても親しまれてきたせりは、健康面でも強い味方となるおいしい野菜です。

生産者の声

名取のうめぇものを一度食(く)ってみて! JA名取岩沼 下余田芹出荷組合 副組合長 三浦 次雄さん

「少し収穫するところをお見せしましょう」。そう言うと、生産者の三浦さんは本田に入り、膝上まで浸かっていきます。水の中にあるせりの茎を抱え込むように腕を回すと、数回揺らし、ゆっくり引き上げる……そんな丁寧な動作を繰り返し、せりの収穫風景を見せてくれました。「コツを教えてって言われても、感覚でおぼえるしかないんですよね」と言う三浦さんは、30歳で家業を継いで就農し、せりの生産をはじめて21年になるそうです。せりの収穫の繁忙期は年末年始。真冬の水中での収穫作業は寒さで大変ではないかと尋ねると、「地下水だから、外気よりも水温のほうが高くて意外と温かいんですよ。でも、濡れたまま外に出ると冷えますね(笑)。一番困るのは寒い日の強風ですね。葉同士がすれて黒く変色し、テカテカになってしまうんですよ」と苦労を語ります。収穫したせりを地下水をひいた洗い場で洗うと、見違えるほど白い根が顔を出し、出荷される姿へと変わります。「収穫したてのせりはこんなに立派なんです。ぜひ新鮮なものを手に取って、せりのおいしさを味わっていただきたいですね!」

ご当地リポート 宮城県名取市

高舘山山頂の標高約500mにある熊野那智神社からは、名取市内と太平洋を一望することができます。日中は広大な名取平野を、夜は市内の夜景を楽しむことができる絶好の眺望スポットです。
 また、名取の活気を感じられるスポットとして、日・祝日に開催されるゆりあげ港朝市があります。東日本大震災からの復興を経て、ゆりあげ港を盛り上げるべく、様々なイベントや露店が出展されています。新鮮な海産物や野菜の販売、食事処など約50店舗に加え、購入したものをその場で食べられる炉端焼きコーナーがあるのも魅力的です。また、ゆりあげ港では、競り市も実施されています。一般の来場客が参加できる競り市は全国的にも珍しいので、ゆりあげ港朝市で一度競り体験をしてみてはいかがでしょうか?

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