



七草粥の材料としても知られるせりは、数少ない日本原産の野菜の一つで、その生産は江戸時代までさかのぼります。あの伊達政宗も “七種を 一葉によせて 摘む根芹”という句を詠んだというほど、宮城県とせりのかかわりは深く、収穫量は全国でも1位となっています。中でも、名取市で生産される「仙台せり」というブランドは、名取川を水源とするきれいな地下水をひいた土壌で育ち、葉の緑がとても鮮やかで風味豊かなのが特徴です。粘土質の土壌にしっかり根を張って茎が太く育つので、シャキシャキとした食感と歯ごたえを楽しむことができます。地下水に含まれる鉄分が少ないため、根が白く、食卓でも美しい姿を見せてくれます。




せりには、ビタミンCやβ-カロテンなど、免疫機能をサポートする栄養素が豊富に含まれています。
また、せりといえば独特の風味が特徴ですが、それを生み出しているのは香り成分のピラジンやオイゲノールです。ピラジンは血流改善効果が期待できる成分で、オイゲノールにはイライラや興奮を抑える鎮静効果が期待できます。そのほか、代謝を助ける補酵素であるパントテン酸、ミネラル、カリウム、葉酸など、さまざまな栄養素が含まれています。古来から、生薬としても親しまれてきたせりは、健康面でも強い味方となるおいしい野菜です。







「少し収穫するところをお見せしましょう」。そう言うと、生産者の三浦さんは本田に入り、膝上まで浸かっていきます。水の中にあるせりの茎を抱え込むように腕を回すと、数回揺らし、ゆっくり引き上げる……そんな丁寧な動作を繰り返し、せりの収穫風景を見せてくれました。「コツを教えてって言われても、感覚でおぼえるしかないんですよね」と言う三浦さんは、30歳で家業を継いで就農し、せりの生産をはじめて21年になるそうです。せりの収穫の繁忙期は年末年始。真冬の水中での収穫作業は寒さで大変ではないかと尋ねると、「地下水だから、外気よりも水温のほうが高くて意外と温かいんですよ。でも、濡れたまま外に出ると冷えますね(笑)。一番困るのは寒い日の強風ですね。葉同士がすれて黒く変色し、テカテカになってしまうんですよ」と苦労を語ります。収穫したせりを地下水をひいた洗い場で洗うと、見違えるほど白い根が顔を出し、出荷される姿へと変わります。「収穫したてのせりはこんなに立派なんです。ぜひ新鮮なものを手に取って、せりのおいしさを味わっていただきたいですね!」



高舘山山頂の標高約500mにある熊野那智神社からは、名取市内と太平洋を一望することができます。日中は広大な名取平野を、夜は市内の夜景を楽しむことができる絶好の眺望スポットです。
また、名取の活気を感じられるスポットとして、日・祝日に開催されるゆりあげ港朝市があります。東日本大震災からの復興を経て、ゆりあげ港を盛り上げるべく、様々なイベントや露店が出展されています。新鮮な海産物や野菜の販売、食事処など約50店舗に加え、購入したものをその場で食べられる炉端焼きコーナーがあるのも魅力的です。また、ゆりあげ港では、競り市も実施されています。一般の来場客が参加できる競り市は全国的にも珍しいので、ゆりあげ港朝市で一度競り体験をしてみてはいかがでしょうか?

