



釧路空港から1時間ほど車を走らせたところにある鶴居村。北海道を代表する特別天然記念物・丹頂鶴の里として知られています。この地にチーズ工房「酪楽館」が誕生したのは17年ほど前のこと。酪農が盛んな鶴居村のおいしい牛乳を使った特産品を作ろうと、鶴居村から委託を受けた振興公社がチーズ工房の運営を始めました。現在は6種類のナチュラルチーズを生産しています。ナチュラルチーズとは、乳酸菌などの微生物の働きで乳を固めて発酵熟成させたチーズです。プロセスチーズとは違って、時間の経過とともに熟成による味の変化を楽しむことができます。
酪楽館では、毎日早朝に届く400Lの生乳から約40kgのチーズを作っています。生乳からホエイと呼ばれる水分を抜いたのち、型に入れて固めたものを熟成させることでチーズになります。熟成期間は80日から1年ほど。熟成庫のチーズは、重いもので10kgにもなるそうです。均等に熟成させるために、これを毎日反転させる作業がおいしいチーズ作りには欠かせません。生乳の状態は日々変わるため、安定した味わいの高品質のチーズを作るために職人の感覚が活かされています。




牛乳を濃縮して作られるチーズは、なんといってもたんぱく質とカルシウムが豊富です。生乳からチーズを作る際、約10分の1の重さになるので、20gのチーズで200gの牛乳と大体同じ量のたんぱく質やカルシウム、ビタミンを摂ることができます。さらに、チーズを作る工程で、乳糖と呼ばれる成分がほとんどなくなるので、牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなるという人でも、チーズであれば取り入れやすいでしょう。そのほか、リン、鉄、ナトリウム、カリウムなどのミネラルをバランスよく含み、ビタミンC以外のビタミンをバランスよく摂ることができるので、食事やおやつに取り入れて、栄養をプラスオンしてみてはいかがでしょうか。







中央酪農会議主催の「ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト」で毎回受賞するなど、ブランドとしての価値を確立している酪楽館のチーズ。その立役者のひとりが技師長の小山田さんです。「もともと牛乳が大好きだったことから、加工品にも興味をもち、大学卒業後から、鶴居村に移住して酪楽館でチーズ作りを始めました。初めて自分が作ったチーズを食べた時は感動よりもホッとした気持ちが大きかったです」と小山田さん。想像以上の力仕事にはじめは苦戦したと言います。そんな小山田さんがチーズ作りで心がけているのは「おいしさはもちろん、安全が第一です」。その言葉通り、工房では使った器具をその都度、念入りに洗い、徹底した衛生管理をしていました。「酪楽館のチーズは、ナチュラルチーズを初めて食べるという方でも食べやすく、クセがない味わいです。たくさんの人に食べてもらい、チーズを好きになってもらえたらうれしいです!」



鶴居村という名のとおり、冬になると村には多くの丹頂鶴が訪れます。11月中旬頃~3月中旬頃まで給餌が行われる鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリや鶴見台は、絶好の観察ポイントです。運がよければ、雪景色の中、羽をピンと伸ばして飛び立つ丹頂鶴の姿を見ることができます。
さらに大自然を堪能できるアクティビティとしては、釧路湿原を流れる釧路川源流のライン下りにも注目です。年間を通じて実施されているので、カヌーやボートに乗って、季節ごとに表情を変える自然の魅力を堪能することできます。
また、釧路の観光地として有名な阿寒湖は、鶴居村から車で1時間ほどで行くことができるので、鶴居村を訪れた機会に足を伸ばしてみるのもいいですね。

