ご当地イチオシの農産物と出会おう!with JAタウン

手塩にかけて育てたからこそ、たくさんの人に知って、味わって欲しい……。ご当地ならではの希少な農産物を、美味しいレシピや生産者の想いと共にお届けします。

今月のイチオシ農産物 高千穂ひのかげくり(宮崎県) 硬い殻を脱いだらほっこり甘いサプライズ

大きくホクホクとした実の秘密は日当たりと水はけのよい山間の傾斜地

宮崎県にある日之影町で栗の生産が始まったのは、昭和36年のこと。この地ではもともと自生している山栗が食べられていましたが、昭和46年から本格的に始まった減反政策(米の生産量を調整する制度)をきっかけに、栗の生産が盛んになっていきました。8月中旬ごろから収穫期を迎える日之影町の高千穂ひのかげくりは、Mから4Lまで5段階のサイズの規格があるなか2L以上の大きなものが80%以上を占めています。その理由は、日がよく当たる山間の傾斜地で栽培されているからです。また、土壌の水はけもよいため、他の産地のものに比べて水っぽさが少なく、甘くホクホクとした口当たりのよい栗に育ちます。さらには、美しい黄色の実も特長で、加工菓子などでも人気が高い品種です。

ご当地イチオシレシピ

栗が主役でボリューム満点

高千穂ひのかげくりと彩り野菜のソテー

材料(2人分)
  • 高千穂ひのかげくり
    8個
  • 鶏もも肉
    (2.5cm角に切ったもの)
    200g
  • ごま油
    大さじ1
  • サラダ油
    大さじ1
■A
  • 大さじ1/2
  • しょうゆ
    小さじ1
  • 片栗粉
    小さじ1
■B
  • ピーマン
    (1.5cm角に切ったもの)
    1個
  • エリンギ
    (1.5cm角に切ったもの)
    1個
  • 鷹の爪
    1本
  • 長ネギ
    (1.5cm長さに切ったもの)
    1/2本
  • 黄パプリカ
    (2cm角に切ったもの)
    1/3個
  • タケノコ
    (1.5cm角に切ったもの)
    100g
  • ショウガ
    (みじん切りにしたもの)
    大さじ1
■C
  • 大さじ4
  • 大さじ1
  • 砂糖
    小さじ2
  • しょうゆ
    小さじ2
  • オイスターソース
    小さじ1
  • 片栗粉
    小さじ1/2
作り方
  1. 1. Aを混ぜ、鶏肉に揉みこみ下味をつける。
  2. 2. 栗は皮をむき、熱湯で10分ほど茹でてから、大きければ半分に切る。
  3. 3. フライパンにごま油とサラダ油を入れ、中火で熱し、1と2を入れて鶏肉に全体的に焼き色がつくまで火を通す。
  4. 4. 3にBを入れて、全体的に火が通るまで炒める。
  5. 5. Cをよく混ぜ、4に加えて軽く炒めてから器に盛る。

秋の味覚がたっぷり!

高千穂ひのかげくりのリゾット

材料(2人分)
  • 高千穂ひのかげくり
    8個
  • 白米
    (固めに炊いたもの)
    250g
  • マッシュルーム
    (1/6の串切りにしたもの)
    50g
  • シイタケ
    (かさを薄切りにしたもの)
    50g
  • たまねぎ
    (みじん切りにしたもの)
    50g
  • ベーコン
    (みじん切りにしたもの)
    20g
  • 白ワイン
    50ml
  • オリーブオイル
    大さじ2
  • パルメザンチーズ
    25g
■A
  • 150ml
  • 小さじ1/4
  • コンソメ(顆粒)
    小さじ1/4
  • コショウ
    少々
作り方
  1. 1. 栗は皮をむき、沸騰させた湯に入れ、弱火で20分ほど茹でる。
  2. 2. フライパンにオリーブオイルを入れ、中火で熱し、玉ねぎを炒め、香りが出てきたらベーコンを加えて脂が出るまで炒める。
  3. 3. 2にマッシュルームとシイタケと塩を加え、マッシュルームが茶色に変わったら白ワインを加えてアルコールが飛ぶまで炒める。
  4. 4. 3にAを加えて、白米と栗6個分を1/4サイズに切ったものを加えて2分ほど煮詰める。
  5. 5. 4にチーズを加えて、全体をなじませるように軽く炒める。
  6. 6. 5を器に盛り、栗2個をおろし金でおろし、上から振りかける。

秋の行楽のおともにピッタリ ビタミンB1の黄金コンビにも注目!

一般的な栗は、可食部100g(栗4〜5個分)あたり36.9gの炭水化物を含んでいますが、糖質の代謝をサポートする働きがあるビタミンB1が豊富です。糖質をエネルギーに変え、疲労回復などの効果も期待できるので、暑さが落ち着いて屋外での活動が増える秋に、行楽のおともにするのもよいでしょう。また、ビタミンCも可食部100gあたりに33mg含まれており、なんとレモン1個分の果汁に含まれる量よりも多いといいます。ビタミンCは本来熱に弱い栄養素ですが、栗のビタミンCはでんぷん質に包まれていることから加熱に強いのが特長です。そのほか、渋皮の渋みに含まれるタンニンは抗酸化作用をもつポリフェノールの1種。さらに、食物繊維やカリウムなどの多様な栄養素も摂ることができ、栗の小さな実には魅力がたっぷりと詰まっています。

生産者の声

てげぇ、うめっちゃが! (とてもおいしい!) 高千穂地区くり部会員 谷川 鎮夫さん

「今年の栗は出来がいい」と言ってにっこり笑うのは、栗の生産に携わって60年の大ベテラン・谷川鎮夫さん。谷川さんが案内してくれた栗園では、堆肥を使う代わりにイタリアンライグラスというイネ科の牧草を植えています。これが夏に枯れて肥料となるため、たっぷりと養分を含んだ土壌で栗が育ちます。さらに谷川さんは、収穫の負担を軽くするための専用ネットを開発したり、海外の技術を参考にして、栗のイガをむく機械を導入したりと、部会の生産者たちが高齢になっても栗の生産が続けられるように栗の産地を守る活動も精力的に行ってきました。
 栗きんとんなどの高級菓子に使われることが多いという高千穂ひのかげくりですが、蒸して食べたり、栗ごはんにしたり、素材の味を味わう食べ方も絶品なんだとか。また、谷川さんのご自宅で作る小豆あんの代わりに、栗あんを使ったおはぎは、とてもおいしいと評判だと言います。「お菓子屋さんからも『高千穂ひのかげくりは他とは違う』と言われるんですよ。その違いをぜひ、味わってみてください!」

ご当地リポート 宮崎県西臼杵郡

西臼杵郡はいくつかの渓谷が点在しています。中でも有名なのが、「五箇瀬川峡谷(ごかせがわきょうこく)」の名で国の名勝・天然記念物に指定された高千穂峡です。阿蘇山の大爆発により流れ出た火砕流が冷え固まって生まれた、柱状節理という連なった柱のような岩肌が高千穂峡の神秘的な美しさを演出しています。そして、その断崖から碧水へ白蛇のように流れ落ちる「真名井の滝」は高千穂峡のシンボルであり、日本の滝百選にも指定されている滝。滝の近くに設置された滝見台からの絶景を楽しむのはもちろん、貸しボートに乗ってより近くで滝を感じるのも一興です。また、高千穂峡から車で約15分ほどのところには、天照大御神様が隠れたと言われる天岩戸を祀ってある天岩戸神社があります。天岩戸の洞窟を訪れ、神話の世界に思いを馳せながら参拝するのも、旅の良い思い出になりそうです。

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