



トマトの出荷量が全国1位の熊本県。その北部に位置する玉名市の大浜町では、有明海に面してミネラルをたっぷり含んだ土壌で、JA全農オリジナルブランドのミニトマトである「アンジェレ」が育てられています。ヨーロッパで開発されたアンジェレはデーツ型(楕円体)で種の周りにできるゼリー部分が少ない品種です。水分が少なく、しっかりとした果肉をもつため、他のトマトでは味わえないサクサクとした食感を楽しむことができます。「アンジェレ」として出荷されるのは糖度8度以上の等級A品のみで、飽きずに食べ続けられるほど甘味と酸味のバランスがよいのも魅力です。産地ではフルーツ感覚でそのまま食べることが多いといいますが、サラダに入れたり、クリームチーズと和えたりして副菜にするのもおすすめとのこと。一般的にミニトマトは5月頃に旬を迎えますが、アンジェレは11月上旬から7月上旬に収穫され、冬場の食卓に彩りを添えてくれます。




アンジェレの鮮やかな赤色は、リコピンによるものです。リコピンには、体内の活性酸素の働きを抑え、免疫機能の低下を改善する抗酸化作用が期待できます。同様に抗酸化作用をもつポリフェノールの一種であるフラボノイドも多く含まれているので、風邪をひきやすい寒い季節にぴったりの野菜といえるでしょう。そのほか、熱に弱いビタミンCや水溶性のカリウムも、生食で食べやすいアンジェレならば効率的にとることができます。






もともとミニトマトの栽培が盛んだった大浜町でアンジェレの生産が始まったのは12年ほど前のこと。その数年後からアンジェレを作り始めたという徳武涼さんは、今年の8月からアンジェレトマト研究会の会長に就任しました。アンジェレは病気に強く、実も割れにくい品種ではありますが、猛暑が続くと品質に影響が出たり、生産量が落ちたりするのだといいます。より安定した生産をしていくために、研究会のメンバーで試行錯誤しながら研究を続けているそうです。施肥や摘果、収穫など手作業で行う工程も多く、広いハウスの中でひと株ひと株と向き合って生産している徳武さん。「消費者の方からもとても評判がいいんですよ。なにより僕自身、アンジェレの味や食感が大好きで、このおいしさをたくさんの人に知ってほしいという一心で生産を続けています。一度食べたら魅力が伝わると思うので、ぜひ手にとってみていただきたいです」



新玉名駅から車で10分ほどの小岱山の麓には、九州のパワースポットと呼ばれる「蓮華院誕生寺奥之院」があります。1073年に藤原重兼公の長男として玉名市に誕生した皇円上人こと皇円大菩薩を本尊として祀るこの寺は、当初、人々の願いを叶える為に修行する僧侶や、僧侶を志す人達の修行道場として建立されました。その歴史から、一願成就、厄ばらい・業ばらいの寺として年間30万人が訪れる場所で、開運や厄除け、商売繁盛から安産・健康祈願などありとあらゆる願いに対して祈祷を受けることができます。また、飛龍の鐘と名付けられた大梵鐘を撞いて祈願をする「大梵鐘祈願」は事前に申し込みが必要ですが、早朝6時と昼の12時に響き渡る大梵鐘の音色を聞けば、心が洗われることでしょう。「仏様の声」とされる鐘の音色は有明海を越えて、対岸の島原半島まで鳴り響くといいます。
