鳥取県中部の沿岸部に広がる砂丘地帯では、排水性が良く作業しやすい砂地の特性を生かし、江戸時代からながいもの栽培がおこなわれてきました。昭和30年ごろにスプリンクラーによる灌漑設備が整えられたことで、ながいもの一大産地へと発展し、現在では「砂丘ながいも」と「ねばりっこ」という2つの品種が栽培されています。鳥取県オリジナル品種の「ねばりっこ」は、粘り気が強く、折れにくい品種のながいもがほしい!という消費者の要望を受け、15年の歳月をかけ生育に成功しました。果肉の白さが特徴的で、甘みとコクがあり、とろろにするのはもちろん、細長くスティック状に切ってフライドポテトのように揚げたり、磯部揚げにしたりすると、もちもちとサクサク両方の食感が楽しめます。
ながいもは昔から薬膳にも使われるほど、栄養価の高い食材です。とくに体内の余分な水分を輩出してくれるカリウムや、炭水化物の糖質をエネルギーに変換する働きをするビタミンB1が豊富です。ビタミンB1は疲労回復効果のほか、脳や神経の刺激を活発化させてくれたり、アルコールの分解を促す作用があったりするなど健康的な生活をするうえで不可欠な効果がたくさんつまった栄養素です。また食物繊維も豊富で、腸内環境を整える効果や血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下が期待できるなど、生活習慣病が気になる方にもおすすめです。ねばりっこは、砂丘ながいもと比べてこれらの栄養素の含有量が多く、たんぱく質は約2倍も含まれています。
11年前からねばりっこの生産に携わり、現在は長芋生産部の部会長を務める竹本健二さん。竹本さんのねばりっことの出会いは運命的だったと言います。「サラリーマンだった頃、運転中に道路わきの圃場で女性が一人でながいもの収穫しているところを見かけまして。突然“これだ!”と思い立って、道路を引き返し、『俺もそれ作りたいんだけど、どうしたらいいんかな』とその場で新規就農の方法を聞いたんです。そこから、JAの研修や先輩生産者の指導を受けました。はじめはトラクターのエンジンのかけ方もわからないぐらいの超初心者!それにねばりっこは地中で育つ作物だから、収穫まで順調に育っているのか確認できなくて不安が大きかったんです。それだけに初収穫で掘り上げたねばりっこを手にしたときは、思わず涙が出ました」。ねばりっこは4月に植え付けをして、収穫が10月下旬から3月までのため、地中で生育させる期間が長い作物です。そのため、土の管理が一番大事だと言います。また、収穫作業には1m20cmもの深さにあるねばりっこを、傷つけないよう掘り起こす繊細さが求められます。このようにして収穫されたねばりっこは、専用の機械で砂を落とし消毒殺菌された後、おがくずをまとって出荷されます。「ねばりっこは本当においしい!と自信を持って言えます。サイコロ状に小さく切って鍋に入れたり、お好み焼きのつなぎ代わりにしたりスムージーにもなったりとアレンジも豊富なので、ぜひ皆さんにも一度味わってほしいです」と、おすすめの食べ方も教えてくれました。
鳥取県のほぼ中央に位置する北栄町は、漫画『名探偵コナン』(『週刊少年サンデー』連載・小学館刊)の作者である青山剛昌さんの出身地です。町内には『名探偵コナン』をテーマにしたオブジェ等が立ち並び、さまざまなイベントも開催されています。観光の中心は青山剛昌さんの作品や資料が展示された「青山剛昌ふるさと館」。コナン駅(JR由良駅)から続く「コナン通り」では、作中に登場するキャラクターをモチーフにしたマンホールやオブジェが迎えてくれます。ほかにも「コナンの家 米花商店街」では、工藤邸の門扉や喫茶ポアロなどがあり、『名探偵コナン』の世界観が楽しめるとして、ファンの聖地となっています。また、毎年6月には「北栄町すいか・ながいも健康マラソン大会」が開催され、真っ赤で甘い大栄西瓜やながいものととろ汁がふるまわれ、完走者には『名探偵コナン』のイラスト入りTシャツが配られるなど、県内外からの参加者で大人気のイベントとなっています。